展示作品

アート

© 2014 Kazuhiro GOSHIMA All Rights Reserved.
これは映画ではないらしい
五島 一浩
従来の映画や動画を成立させる「コマ(静止画)」の連続とは異なり、「コマの無い動画カメラ/映写機」によって「動く画像」を生み出す作品。本作ではこれまでの映画/動画の基本概念を問い直す、かつてない画期的なシステムが考案・実証されている。本作のカメラ兼映写機は、二眼レフカメラの対物レンズと、光ファイバーの束、ファイバーを通った光を露光するフィルム、フィルムフォルダーをスライドさせる手動ハンドルなどが内蔵された箱型の構造物である。撮影時、格子状に植え付けられた324本の光ファイバーは、324画素のドットの役割を担う。ハンドルを回して内部のフィルムフォルダーをスライドさせることで、ファイバーを通った光がフィルムに露光される仕組みとなっている。このフィルムを撮影時と同様にスライドさせることで、光の線として記録された動画を再生することができる。
第18回 優秀賞
© 2014 Satoshi Fukushima
《 patrinia yellow 》for Clarinet and Computer
福島 諭
本作は、女郎花(オミナエシ)という植物の一年の周期を表現した、クラリネットとコンピュータによる楽曲である。コンピュータからの音はすべて奏者の演奏した音をリアルタイム処理したもので構成される。約11分の楽曲は三つのパートに分かれており、第1部と第2部はクラリネットとコンピュータの共演、それに挟まれる中間部はコンピュータのみによる独奏で構成される。本作の作曲法では、題材となった植物がもつ生命の循環/伸縮/リズムをさまざまなスケールで表現すべく、楽器演奏とコンピュータによる音の組織法、パラメータが緻密に設定されている。本作は、リアルタイムの演奏と、その録音データをデジタル処理して楽曲を制作する「リアルタイム・サンプリング」という手法を植物の生態的な周期になぞらえ、現代音楽における独自の音楽論を深求する試みだといえる。また本展での展示は、ライブパフォーマンスをシミュレーションしたものとして展開される。
第18回 優秀賞
© IKEDA YASUNORI
BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW
SOL CHORD(前田 真二郎/岡澤 理奈)
ウェブムービー・プロジェクト『BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW』は、3.11東日本大震災が発生した2週間後にスタートした。前田真二郎が作成した「指示書」をもとに映像作家が5分の映画を制作し、完成された作品は随時ネット公開された。2012年3月までの1年間に32人の作家が参加し、60作品が制作された。ウェブサイトでは、各作家が撮影した場所や月日がアーカイヴされ、その日に起こったニュースも閲覧できる。また、作品群からセレクトされたオムニバス・ムービーが作成され、各種の映画祭で上映された。

企画:SOL CHORD│監修:前田 真二郎│アートディレクション:岡澤 理奈│協力:IAMAS 新しい時空間における表現研究プロジェクト
参加作家:AYA/有川 滋男/五十嵐 友子/池田 泰教/石川 多摩川/上峯 敬/宇田 敦子/馬野 訓子/大木 裕之/岡本 彰生/木村 悟之/齋藤 正和/鈴木 光/高尾 俊介/崟 利子/高嶺 格/椿﨑 和生/中沢 あき/永田 收/西村 知巳/萩原 健一/林 勇気/本間 無量/前田 真二郎/松島 俊介/マトロン/宮本 博史/森下 明彦/森本 アリ/安野 太郎/若見 ありさ/ TANJC(陳維錚)
第16回 優秀賞
© Noriyuki Kimura
CINEMA
~カメラオブスクラの中で文字を書く~
木村 悟之
カメラオブスクラとは写真機の原型として知られる外面に小さな穴の開いた箱であるが、歴史的に見れば写真機よりもはるかに長い間、天文学や暦学、占星術等において太陽の運行を観測する装置として利用されてきた。パフォーマンス作品『CINEMA』においてパフォーマーは部屋を遮光してカメラオブスクラ化し、内部へ入射する太陽光を鏡で反射させて文字を書く。鏡はあらかじめシミュレーションされた既定の位置と角度へ10分ごとに設置され、鏡に反射した太陽光は部屋の内壁に投影されて3時間かけてCINEMAの文字をなぞることになる。今回の新潟展では、2015年4月21日にドイツで行われたパフォーマンス『CINEMA』のスコアや記録写真・映像に加え、本展準備期間中に旧齋藤家別邸の蔵をカメラオブスクラ化して行われる新作パフォーマンスの記録物を用いてインスタレーション作品として構成される。
第18回 審査委員会推薦作品
撮影 遠藤 龍
INVISIBLE
遠藤 龍
【作家より】
「INVISIBLE」は映像と写真から構成されます。
映像、写真ともに原子力発電所と関わりを持つ土地で撮影されたものです。
私たちはメディアを通して原発を取り巻く状況を知ることがほとんどかと思いますが、この「知る」ということの判断基準は非常に曖昧なものです。
私自身ながらくメディアを通してしか情報を得ることがなっかた原発と関わりを持つ土地へ旅をし、何を知ることができるのかを模索してはみましたが、撮影を通して思い知るのは目に見えるものの向こう側に存在しているものを知ることの難しさでした。
思い込みや誤読に満ちた世界の中で何かを知ろうということは常に困難を伴います。
この難しさを引き受けることが知ることの糸口のように思います。
地元招待作家
© 2015 Yu Takahashi + Kanae Takahashi
Photo:Motoi Okumura
MORI 2016
高橋 悠+高橋 香苗
【作家より】
神社の参道や本堂を取り囲むように植えられた樹木群は『鎮守の杜』とよばれる森林である。人の営みと共にゆっくりと時を重ねてきた神社と森から着想したインスタレーションを展開した。
神社に植えられることが多い欅の分岐を、フラクタル図形の一つであり無限に分岐を続ける『樹木曲線』を用いて抽象化し、3Dプリンターで立体化。『幼年期』『少年期』『青年期』『壮年期』『老年期』と段階的に形成されたオブジェクトは、枝の分岐回数と角度、長さや太さを一定の法則で変化させた直線に由来する。明滅する光が透過を繰り返して物質感を変化させ、成長、生と死、時の流れを象徴している。
映像記録を紹介する2015年版(新潟市内野大神宮)では神社を舞台に展開。参道の延長線上、本堂内に直線的に配置し、本堂奥の神域へと繋がる。本展示では変化するオブジェクトの先に鏡を配置し、生と死を繰り返す生命活動や時間の流れの中に鑑賞者が入り込む構造で展開する。
地元招待作家

エンターテイメント

© Amuse, Inc. + UNIVERSAL MUSIC LLC + Rhizomatiks co.,ltd. + DENTSU INC.
Perfumeライブ「SXSW 2015」
Perfume/MIKIKO/中田 ヤスタカ/真鍋 大度/花井 裕也/石橋 素/堀井 哲史/菅野 薫
ライブ会場の観客と、会場での体験に比べ劣る点が多い生中継視聴者の両方に楽しんでもらえる演出を目指し制作された作品。3Dスキャン、モーションキャプチャ、プロジェクションマッピング、CG合成、3Dリコンストラクションなどの緻密なライブシステムと中継技術を組み合わせ、ライブ映像とCGの仮想空間をシームレスに行き来できるシステムを開発している。
第19回 審査委員会推薦作品
© 2015 Aiueo Sakubun Rap Project
あいうえお作文RAPプロジェクト
くろやなぎ てっぺい(NOddIN)
戦後70年を迎えた今、参加者に平和への想いをラップで表現してもらうプロジェクト。「へいわをねがう」という7文字であいうえお作文をつくり、自分なりの「リアルな気持ち」をラップで歌い上げる。小学1年生から85歳のお年寄りまで、国籍も人種も異なる老若男女がラップに挑戦し、音楽を通して平和を考え、発信する試み。
第19回 審査委員会推薦作品
© 2014 2.5D Mask Project
2.5次元マスク
くわがた/岩渕 真紀/宮崎 まり
ウェブ上でオープンソース化された型紙をダウンロードし、家庭用A4プリンターでつくることのできるペーパークラフトのマスク。着用した人々は、“誰でもない誰か”、“誰でもないキャラ”となり、着用画像は、ウェブ上で公開することができる。アニメーションのキャラクター風のマスクを被るという行為が収められた画像は、2次元/3次元を通り抜ける際の「2.5次元」の世界を喚起させる。
第19回 審査委員会推薦作品

アニメーション

© Ural-Cinema
心の傷(英・wound ウーンド)に苦しむ少女。その傷が少女の空想の中で、毛むくじゃらの生き物・ウーンドとして誕生するところから物語は始まる。かけがえのない親友として少女とともに成長していくウーンドは、彼女の頭の中にすっかり居ついて、だんだんと存在感を増し、やがてその人生を完全にコントロールするようになる。作者の幼い頃の記憶をもとに作られた本作は、数名の友人から成る少人数のチームで制作された。特に音作りにはこだわりがあり、水道管を用いて特殊な効果音をつくるなど独特なサウンドトラックを作るために、さまざまな工夫がなされている。少女とウーンドが繰り広げる、悪夢のようでありながらも美しい短編アニメーション。
9分21秒
第18回 大賞
© Mosaïque Films - Artémis Productions - Panda Média - Nadasdy Film - France 3 Cinéma – 2012
はちみつ色のユン
ユング/ローラン・ボアロー
朝鮮戦争後の韓国では、多くの子どもが養子として祖国を後にした。その中の一人「ユン」は、ベルギーのある一家に“家族”として迎えられた。肌の色が異なる両親と4人の兄妹とともに生活を送る中で、フランス語を覚え、韓国語や孤児院での生活を忘れることができた「ユン」。そんな時にもう一人、韓国からの養女がやってきて“家族”に加わった。彼女を見て、「ユン」は自分が何者なのかを意識し始める―。韓国系ベルギー人のユング監督が自身の半生を描いたマンガをもとに、ドキュメンタリー映画監督ローラン・ボアローと共同監督したアニメーション。現代のソウル、そして1970年当時のユング監督が写された8ミリフィルムや記録映像による実写と、手描きやCGによる3Dアニメーションといった多彩な手法でシーンを描き分け、アニメーション表現の可能性を切り拓く。肌の色が違っても、血のつながりがなくても、愛に満ちている“家族”のあり方を本作は物語っている。
75分

© Mosaïque Films - Artémis Productions - Panda Média - Nadasdy Film - France 3 Cinéma – 2012
監督・脚本:JUNG / Laurent BOILEAU|原作:『Couleur de peau: Miel』ユン著、クアドランツ/ソレイユ刊|美術監督:ジャン=ジャック・ロニ|ストーリーボード:エリック・ブリッシュ/アレクシ・マドリッド|キャラクターデザイン:エリック・ブリッシュ|編集:エンワン・リケール|音響:カンタン・コレット/マチュー・ミショー|音楽:ジークフリード・カント|主題歌:リトルコメット「ルーツ」|声の出演:ウィリアム・コリン/クリステル・コルニル/ジャン=リュック・クシャール/アルチュール・デュボワ/デヴィッド・マカルス|製作:モザイク・フィルム(フランス)/アルテミス・プロダクシオン(ベルギー)/フランス3シネマ(フランス)/パンダメディア(韓国)/ナダスディ・フィルム(スイス)|国際配給:Wide(フランス)|配給:トリウッド/オフィスH
第17回 大賞
© 2014 Yantong ZHU / Tokyo University of the Arts
父が4歳の娘・ヌヌに牛乳の入ったコップの中に牛がいるという噓をついた。それを信じた娘は、牛乳を飲み干したが、牛はいなかった。ヌヌは、父が常にさまざまな噓をつくので次第に信頼しないようになる。作者自身の幼い頃の父との思い出に基づいて制作された短編アニメーション作品。日常生活の中にあるあらゆる形態の「噓」をすくいとって、子どもの視点から父の姿を描いている。柔らかいパステルの質感が印象的な多彩なドローイングが際立つ手描きアニメーションの技法を用いることで、80年代中国江南地方の小さな町の雰囲気が再現されている。
11分3秒
第18回 新人賞
© Sacrebleu Productions
自らの存在を疑い苦悩する一人の男が椅子に座っている。記憶、空想と現実が交錯し、目の前の世界を疑っている自分自身こそが空想の産物ではないかという思いに捕らわれるようになる―。美術史を学ぶ過程で、座って思索する人間をモチーフにした絵画や彫刻に数多く出合ってきた作者はこうコメントする。“作中の「彼」は「私」が描いたものに過ぎない。では「私」も誰かに作り出されたイメージなのだろうか? ” 本作では、何世紀にもわたって多くの芸術家が「人間の存在」をテーマに、椅子に座る人間を描いてきたという発見から着想を得て、作者独自の解釈と洗練された手法で、これまでにない「椅子に座り深く思索にふける男」を描き出した。楽しげで斬新な視覚表現を用い、哲学的なタッチで展開される本作は、「我々がどこから来たのか、どこにいるのか?」そして「宇宙とは何か?」という実存主義的な問いを投げ掛ける。
6分55秒
第18回 新人賞
© 2013 Kuno Yoko All Rights Reserved.
アニメーション:久野遥子|音楽:「Airy Me」Cuushe
配給:CaRTe bLaNChe
謎の生体実験が行われる病棟で日々看護師から投薬を受ける被験者。ある時、看護師が被験者のスイッチを押すと、キメラ(複数の動物のハイブリッドからなる怪物)へと変貌を遂げてしまう……。人にあらざる姿になろうとも人間的欲求を持ち続けた時、果たしてどんな光景が生まれるのか。そしてそれは看護師と被験者の関係にどんな変化をもたらすのか─。アーティスト・Cuusheの同名曲から得たインスピレーションをもとに、2年近い歳月をかけて描かれた3,000画からなる手描きアニメーション作品。病棟内の時が止まったような風景と対照的な、揺れ続けるカメラワークや柔らかな色彩によって、独自の物語世界を描いている。
5分38秒
第17回 新人賞
© 2015 Yoko YUKI / Tokyo University of the Arts
作者が実際に体験した出来事をアニメーションにより再構成した作品。ある夏の日、横浜の海辺で出会ったロシア語を教えるおじさんに連れられ一緒に街へ出かけてみると、見慣れたはずの街が普段と違う風景として見えてきた─。切り紙、クレイなど複数の手法を組み合わせて制作し、実際にロケを行ない、屋外で演技をした音声を用いている。
5分38秒
第19回 審査委員会推薦作品
© CONGRONG FILM
いかにして詩はつくられるのかをテーマに制作された、切り絵を用いた(カットアウト)アニメーション。古代中国を舞台に、吹雪のなか梅の花を探す旅人たちを描いている。太陽からもっとも離れた深い谷の底に、一年でもっとも遅くに花を咲かせる木があり、その木は、雪と霜と戦っている。作中の梅の花の詩は南宋時代の詩人、陸游(りくゆう)(1125─1210)によるもの。
6分14秒
第19回 審査委員会推薦作品
© I.TOON
Blue Eyes – in HARBOR TALE –
伊藤 有壱
『HARBOR TALE』の続編。舞台は港街「Y」。歴史的な建物が時を経て生命を宿し始めた中で、一片のレンガは外国から訪れる「客」の水先案内人として働いていた。ある日、運河につながれたボートハウスから出てきた人形と出会い、もうひとつの小さな物語が幕を開ける―。コマ撮り映像とCGを融合した「ネオクラフトアニメーション技法」による短編アニメーション作品。
7分40秒
第18回 審査委員会推薦作品
© 2014 中田彩郁 All Rights Reserved.
大小に変形する四角形で「境界」という概念を表現した作品。「境界」とは、主体の立ち位置により発現・発生するものであり、見え方や考え方にまで影響を及ぼす。本作では、境界に囲われた空間で、赤い服の少女が眠っている。しかし目が覚めると、少女はその場所が不自由に感じるようになる―。舞台『鑑賞者』(構成・演出:小野寺修二、 2013年)の劇中で、作品の一部が使用された。
2分26秒
第18回 審査委員会推薦作品
© Yoriko Mizushiri, 2013 Director & Animation:MIZUSHIRI Yoriko|Music:TOKUSASHI Kengo
配給:CaRTe bLaNChe
田んぼに積もった雪で作られたかまくらをイメージした作品。白と静寂に包まれた空間の中で、たわいのないモチーフや動きをゆるやかに表現。春の訪れをかまくらの中で静かに待っている間の、温かいようにも冷たいようにも感じられる感覚、そしてその何ものにも代え難い自由な時間を描く。
5分22秒
第17回 審査委員会推薦作品
© Sawako Kabuki
監督:冠木佐和子|音楽:「Ici, là et partout」小さいテレーズ|配給:CaRTe bLaNChe
愛や恋はとても素晴らしく人生を豊かにしてくれるが、実体がなく、時にとてもあやふやで切ない─。恋に浮かれ、愛にあふれる作品に仕上がっていながらも、物体が次々とメタモルフォーゼしていくことによって儚さを表現した手描きアニメーション。
2分10秒
第17回 審査委員会推薦作品
© I.TOON
舞台は横浜をモデルにした港街「Y」。一片のレンガは、洋館の一部として100年ものあいだ港街のうつろいを眺め続けてきた。レンガはある日ついに壁を抜け出し、さまざまな出会いを通し、街の魅力を発見していく。本作は、コマ撮りとCGを組み合わせた“ネオクラフトアニメーション”技法を駆使し5年余りの歳月をかけ完成した。
18分5秒

監督:伊藤有壱(I.TOON Ltd.)|音楽:ジェイムス下地|声の出演:ジョージ・ウィリアムズ|メインアニメーター:井上二美|サウンドエフェクト:伊藤瑞樹|編集:木村悦子/松村正樹
第16回 審査委員会推薦作品
© Akino Kondoh/ Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery
タイトル「KiyaKiya」は、作者が澁澤龍彦『少女コレクション序説』中の「幼児体験について」という一編で出会った「胸がきやきやする」という言葉からとられている。「何とも説明しがたい、懐かしいような、気がかりなような気分」「既視感」の気分を表わす古い日本語で、この気分の考察が本作のテーマとなっている。
6分39秒
第16回 審査委員会推薦作品
プロデューサー&共編者:KIM Kihyun | クリエイティブディレクター:LEE Dongsub|タイポグラファー:LEE Gawon|サウンドデザイナー:SONG Youngho
© JOUNG Yumi
© Joung Yumi & CulturePlatform Co.,Ltd.
小さな頃にしていた遊びを思い出す。一緒に楽しく遊んでいたものだが、振り返ってみると、私は自分の欲望を満たすために遊びを利用していたことに気づかされる。それは子どもの自己中心的なふるまいだった。けれども大人の恋人たちも、互いに未熟な面を見せることがある。自己愛に溺れ、子どもじみた行動をとってしまう。本作ではそのような愛を子どもの遊びというメタファーを通じて描いている。
15分10秒
第16回 審査委員会推薦作品
Management : FOGHORN
© RYO HIRANO
ホリデイ
ひらの りょう
まるで襖絵に描かれたような立派な松の木が佇む中、山々を繋ぐロープウェイが賑やかに行き交うも、どこかひなびた空気の漂う行楽地。そこに登場するのは、耳に姿を変えてしまう女の子、黄色い姿の裸の男、人間のように歩くイモリたち。共に行動を開始する3人は湖のほとりに設けられた野外ステージで演奏を始める。日本の妖怪を彷彿とさせる不思議な世界の住人たちを、じっとりとした湿度に満ちる唯一無二の世界観で描き出している。
14分16秒
第15回 審査委員会推薦作品
© 2011 Masanori OKAMOTO / Graduate School of Film and New Media,Tokyo University of the arts
作画して切り抜いた画用紙を、一つひとつ置き換えながら撮影する「カットアウト」と呼ばれる手法で、野外を背景にして制作されたコマ撮りアニメーション。現実の風景の中で紙に描画された「BONNIE」が頼りなく風に吹かれる様子を表現し、三次元と二次元とのマッチングによって、日常の何げないワンシーンやどこかで見たような光景を、特別な瞬間の連なりとして切り取っている。
2分27秒
第15回 審査委員会推薦作品
© 2015 Ataru Sakagami/Tokyo University of the Art
【作家より】
”そこはかつて祖父母が、両親が、僕が住んでいた場所。遠い記憶と感情を忘れてしまっても、確かにそこに存在し、これからもあり続ける”

祖父母が建て、作家自身も幼少期に住んでいた家を素材として、ストップモーションアニメーションを制作。

刻々と変化する日の光と、崩れ落ち動きだす家の残骸たちを映像に捉えた。
4分31秒
地元招待作家
【作家より】
頭の片隅で鱗が光り、記憶の発掘を始める。迷子になった博物館で出会った館長は、どんな人だったろう。
9分
招待作家
賢者
【作家より】
「だるまさんがころんだ」をモチーフに、10人の作家がそれぞれに導き出した”アクション”を同一画面上に混在させる短編アニメーション作品。初めてアニメーションを制作する者も、仕事として常にアニメーションと関わってきた者も、分け隔てなくカットアップされ映像は展開する。アニメーションを集団制作する上で必要となってくる”物語展開”のための”絵柄”や”動き”など、アニメーターを統率し管理しようとする作業工程を放棄し、それぞれの”動き”の追求にのみ尽力させた。脈絡無く衝突する”ビジュアル”の数々、それは作家ごとに異なるアニメーションへの認識の差異であり、それらが絶え間無くぶつかり合いながら作品は進行し「だるまさんがころんだ」というたった一つのルールからも逸脱し始める。
2分
招待作家
Management : FOGHORN
© MANAMI WAKAI
ひとりぼっちのヒーロー
若井 麻奈美
【作家より】
ひとりぼっちではいられなかった子供に向けて。または、年をとってひとりぼっちでいる覚悟を忘れてしまったときに。
7分40秒
招待作家

マンガ

© 2015 disk union
はちみつ色のユン
ユング/訳:鵜野 孝紀
肌の色、家族、アイデンティティなどを問う物語。ソウルで生まれたユンは孤児院での生活を経て、5歳でベルギーの大家族に養子として迎えられる。養父母から厳しくも愛のある教育を受ける一方、ユンはいまだ見ぬ産みの母への淡い思いを抱きはじめる。本作は、第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞作の原作である。
第19回 審査委員会推薦作品
© Youko Kondo/Yasumi Tsuhara 2014
© KADOKAWA
五色の舟
近藤 ようこ/原作:津原 泰水
津原泰水の傑作幻想譚(たん)が、近藤ようこの手によって儚くも鮮烈にマンガ化された作品。先の見えない戦時下、太平洋戦争末期を時代背景に、見世物小屋の一座として糊口をしのぐ異形の者たちの哀切な運命が描かれる。主人公は、脱疽(だっそ)で足を失った元花形旅役者・雪之助(ゆきのすけ)、一寸法師だが怪力の昭助(しょうすけ)、結合双生児だったが手術を受け一人蛇女として生きる桜(さくら)、膝関節の障害を逆手に牛女となった清子(きよこ)、そして両腕のない少年・和郎(かずお)の5人。彼らは古い舟を住処(すみか)として、まるで家族のように暮らしていた。ある日、未来を言い当てるという怪物・くだんの噂を知った雪之助は、一座の仲間にしようと家族総出で岩国に向かうことに。くだんは既に軍の手中にあったが、目を合わせた和郎は、その日から舟で海原を漂い、離合集散を繰り返す一座の夢を見るようになる。これはくだんの仕業に違いないと確信した和郎だったが―。小説での発表も困難と目された原作に、近藤ようこが挑んだ奇跡のマンガ化作品。

『月刊コミックビーム』(KADOKAWA)連載開始:2013年8月号 連載終了:2014年3月号
第18回 大賞
© Youko Kondo / Seirinkogeisha
戦争と一人の女
近藤 ようこ/原作:坂口 安吾
6年がかりで描き下ろされた意欲作。敗戦の気配から日本に絶望する虚無的な小説家と、過去に売春宿、飲み屋で働いていた不感症の女。戦争に生かされた二人の刹那的な世界を描いた坂口安吾の異色作、GHQ検閲前無削除版「戦争と一人の女」「続戦争と一人の女」「私は海をだきしめていたい」をひとつの話に構成しマンガで表現した作品。
第17回 審査委員会推薦作品
© 田亀 源五郎/双葉社
弟の夫
田亀 源五郎
同性婚をテーマに、一般社会のなかでのゲイを描いた作品。弥一(やいち)と夏菜(かな)、父娘2人暮らしの家に、マイクと名乗る男がカナダからやって来た。彼は、弥一の双子の弟・涼二(りょうじ)の結婚相手だった。涼二はカナダでマイクと同性婚をし、その後亡くなったのだった。「パパに双子の弟がいたの?」「男同士で結婚ってできるの?」と幼い夏菜は、突如現われたカナダ人の“おじさん”マイクに大興奮、たちまち意気投合し仲良しになる。一方の弥一は、しばらく日本に滞在することになったマイクと一緒に暮らすうちに、自身のなかにあった偏見に気づいていく。そして、成長とともに自然と距離ができてしまった亡き弟・涼二への想いを深めていくことになる。海外でも高い評価を得ている作者による初の一般誌連載作品である。

『月刊アクション』(双葉社)連載開始:2014年11月号─連載中
第19回 優秀賞
かくかくしかじか
東村 アキコ
第19回 大賞
チャイニーズ・ライフ
李 昆武/フィリップ・オティエ/訳:野嶋 剛
第18回 優秀賞
愛を喰らえ!!
ルネッサンス吉田
第18回 新人賞
カニカニレボリューション
アルチュール・ド・パンス/訳:原 正人
第18回 審査委員会推薦作品
かわいい闇
ファビアン・ヴェルマン/マリー・ポムピュイ/ケラスコエット/訳:原 正人
第18回 審査委員会推薦作品
昭和元禄落語心中
雲田 はるこ
第17回 優秀賞
すべてがちょっとずつ優しい世界
西島 大介
第17回 審査委員会推薦作品
ウォーキング・デッド
ロバート・カークマン/作画:トニー・ムーア、チャーリー・アドラード/訳:風間 賢二
第17回 審査委員会推薦作品
第七女子会彷徨
つばな
第17回 審査委員会推薦作品
ラ・ドゥース
フランソワ・スクイテン/訳:古永 真一
第17回 審査委員会推薦作品
Ngurrara
Tyson MOWARIN / Stuart CAMPBELL
第17回 審査委員会推薦作品
ムチャチョ―ある少年の革命
エマニュエル・ルパージュ/訳:大西 愛子
第16回 優秀賞
凍りの掌 シベリア抑留記
おざわ ゆき
第16回 新人賞
日本人の知らない日本語
蛇蔵(構成・マンガ)/海野 凪子(原案)
第16回 審査委員会推薦作品
鶏のプラム煮
マルジャン・サトラピ/訳:渋谷 豊
第16回 審査委員会推薦作品
僕らの漫画
「僕らの漫画」制作委員会
第16回 審査委員会推薦作品
あの日からのマンガ
しりあがり 寿
第15回 優秀賞
バコ・ロカ(著)/小野 耕世、高木 菜々(訳)
第15回 優秀賞
ファン・ホーム —ある家族の悲喜劇—
アリソン・ベクダル(著)/椎名 ゆかり(訳)
第15回 優秀賞
北城百画帖
AKRU
第15回 審査委員会推薦作品
はたらけ、ケンタウロス!
えすとえむ
第15回 審査委員会推薦作品